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「運命じゃない人」(監督:内田けんじ)

  • 2006-02-12 (日) 22:21
  • MOVIE

■和製ほのぼのパルプフィクション

「運命じゃない人」(監督:内田けんじ)を観た。いとうせいこう氏の先見日記での紹介を読んでからずっと観たかったのだがようやくDVDで観ることができた。評判どおり脚本がよくできているなあという印象。同じ時間軸で起きている物語をそれぞれの登場人物の視点から見せていくというパルプフィクション的なものだが、とても綿密に作られている。監督によると「脚本に1年掛かった」というだけあって、ただ個々の事情を描くのではなく、一人一人の物語を順番に観ていくことで謎が徐々に明らかになり、さらに物語そのものの印象も変化していくのである。

最初は悲しみをかかえた男女の淡い恋の物語なんかなあと思っていた。ところが主人公を振って逃げてった女(ゆかり)が登場すると一変して、詐欺とヤクザと大金とで一気に事件のにおいが。そこからまた二転三転して大金の行方は?となり、最後は絶妙な余韻と、さりげなく張られた伏線にやられる。

またキャストがよい。まず主人公の宮田役の中村靖日。独特なほのぼのキャラで天然記念物級にいい人を演じている。タクシーを追っかけて電話番号を聞いたあとのぎこちないけれど会心のガッツポーズ。このシーンに宮田のキャラクターが濃縮されていて、ここは名シーンだと思う。そして最高なのはやはり浅井組長役の山下規介。最初出てきたときは「ゆうたろう?」と勘違いしてしまったが、この「ヤクザの組長で貫禄はあるんだけどせこくて何となくお茶目」という絶妙な役どころを飄々とそして見事に演じている。白のスラックスをここまで着こなせる人は他にはいないでしょう。後半はこの人がおいしいところをすべて持っていってます。ちょっとベテランぽいけど舞台役者なのかなと思って公式サイトを見てみたらなんとジェームス三木の息子だったんですね。そう言われると面影があるようなないような。

あと、この映画は全体的に飄々とした優しさのようなものが漂っていて、主人公と親友の探偵のやりとりとかほのぼのさせてくれるシーンが多い。この映画世界にしばらく浸っていたいなあと思わせる不思議な力がある。監督との対談で、いとうせいこう氏は「1ヶ月の間に3回も観に行きました」と言っていたがわかる気がする。物語の流れを再確認したいのもあるし、もうちょっと彼らが動いてるのをただ観ていたいのだ。

さてところでラストのシーン。観た人によっていろいろな受け取り方があると思いますが、僕は「とりあえずお金を返しに来た」という以上のことはないと思うのですがどうでしょう。タイトルが「運命じゃない人」ですし。

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