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2006-02

「運命じゃない人」(監督:内田けんじ)

■和製ほのぼのパルプフィクション

「運命じゃない人」(監督:内田けんじ)を観た。いとうせいこう氏の先見日記での紹介を読んでからずっと観たかったのだがようやくDVDで観ることができた。評判どおり脚本がよくできているなあという印象。同じ時間軸で起きている物語をそれぞれの登場人物の視点から見せていくというパルプフィクション的なものだが、とても綿密に作られている。監督によると「脚本に1年掛かった」というだけあって、ただ個々の事情を描くのではなく、一人一人の物語を順番に観ていくことで謎が徐々に明らかになり、さらに物語そのものの印象も変化していくのである。

最初は悲しみをかかえた男女の淡い恋の物語なんかなあと思っていた。ところが主人公を振って逃げてった女(ゆかり)が登場すると一変して、詐欺とヤクザと大金とで一気に事件のにおいが。そこからまた二転三転して大金の行方は?となり、最後は絶妙な余韻と、さりげなく張られた伏線にやられる。

またキャストがよい。まず主人公の宮田役の中村靖日。独特なほのぼのキャラで天然記念物級にいい人を演じている。タクシーを追っかけて電話番号を聞いたあとのぎこちないけれど会心のガッツポーズ。このシーンに宮田のキャラクターが濃縮されていて、ここは名シーンだと思う。そして最高なのはやはり浅井組長役の山下規介。最初出てきたときは「ゆうたろう?」と勘違いしてしまったが、この「ヤクザの組長で貫禄はあるんだけどせこくて何となくお茶目」という絶妙な役どころを飄々とそして見事に演じている。白のスラックスをここまで着こなせる人は他にはいないでしょう。後半はこの人がおいしいところをすべて持っていってます。ちょっとベテランぽいけど舞台役者なのかなと思って公式サイトを見てみたらなんとジェームス三木の息子だったんですね。そう言われると面影があるようなないような。

あと、この映画は全体的に飄々とした優しさのようなものが漂っていて、主人公と親友の探偵のやりとりとかほのぼのさせてくれるシーンが多い。この映画世界にしばらく浸っていたいなあと思わせる不思議な力がある。監督との対談で、いとうせいこう氏は「1ヶ月の間に3回も観に行きました」と言っていたがわかる気がする。物語の流れを再確認したいのもあるし、もうちょっと彼らが動いてるのをただ観ていたいのだ。

さてところでラストのシーン。観た人によっていろいろな受け取り方があると思いますが、僕は「とりあえずお金を返しに来た」という以上のことはないと思うのですがどうでしょう。タイトルが「運命じゃない人」ですし。

「MOTアニュアル2006日本画から/日本画へ」東京都現代美術館

  • 2006-02-11 (土)
  • ART

東京都現代美術館に行ってきました。
「MOTアニュアル2006日本画から/日本画へ」

そして現在、現代美術―日本画、洋画―日本画という対立的な考え方を崩すような新たな世代が現れ、「日本画」という定義そのものに、もはや意味がなくなってしまったようです。
本展は、こうした状況をふまえながら、それでもあえて日本画を描き、あるいは日本的な表現に挑む30代の若手作家たち篠塚聖哉、天明屋尚、長沢明、町田久美、松井冬子、三瀬夏之介、吉田有紀による「ニホン画」の“今”を展覧します。

というわけで、ざっと感想をまとめる。

松井冬子
(幽霊画、恐ろしく美しい静謐なリアル、狂気の淵の正気と書いてあったが)。

町田久美
(シンプルで一見ユーモラスだが、シニカルでブラックで人間の嫌な部分を抉り出して錐で突き刺すような痛さと不快感。モグロフクゾウ的黒さ)

長沢明
(トラ。凶暴な目の獣だが精霊的な親しみやすさがある。鉄をまぶした質感も土臭くぬくもりを感じる)

三瀬夏之介
(奇景。面白いカオス。宮崎駿とぱっと観ただけで記憶して再現してしまうびっくり人間の描いた絵を思い出した。とんでもない情報量を詰め込む。ある種心の地図。)

天明屋尚
(明快なコンセプト。チープ、キッチュ。)

観ていて思ったのはある種の自分の内的感覚の重要性。きっかけは日常で感じたちょっとした違和感だったりするんだろうけど、その内的な感覚を自分の中で精査し増幅して、どういうコンセプトとディティールで打ち出すか。迫力を持った絵というのは、そういう思考段階を経て出てくるものなんだなあと思いました。

社会事業家(ソーシャルベンチャー)

「次代の仕事」NHKで社会事業家(ソーシャルベンチャー)の特集をやっていた。
共働きなどの家庭で子供が病気になったときに仕事を休めない場合、地域のレスキュー(地域ボランティアのおばさん)にあずかってもらう、というサービス。元ITベンチャーの社長がそのサービスを提供する事業を立ち上げて、その現状は・・・というお話。

月会費4000円で会員になれば、利用できるらしい。4000×120で黒字になるので当面はそれ目指してやっている。200人の希望者がすでにあるがレスキューの人が足りず、定着率50%で半分がやめていってしまうのがネックということ。海外ではそれで成功している人もいるとか。日本ではまだ社会事業として成り立つには難しいみたいである。

まあ日本ではベビーシッターみたいなのがあまりメジャーではないしなあ。自治体からの助成金の問題もあるのでしょうが。難しいすね。

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